序章

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ここは絵画の販売店だ。先月からオープンしているここ『ラパン』は真白の建物が特徴の しかもSNSでは星4.6という非常に好評のお店なので、 絵に詳しくなくても好きな僕は「行かなくては」という気にさせるまで時間はかからなかった。 受付嬢に案内され、僕は周りを見渡して感心した。 展示されている絵の枚数が多い。 ざっと数えて50以上はある。小さい店の壁にぎっしりと飾られ、なお狭く感じた。 絵画はほとんど女性だ。 「これ、ここにあるものは全て店の主が?」 「ええ。店のオーナーの平野(ひらの)が描いていらっしゃいます。どうです?素敵ですよ、どれも」 僕は見上げて、ある一枚の絵画に目が止まった。 赤と黒のドレスに身を包んだ女性が目を伏せて微笑んでいる絵画。
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