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須藤の言うとおり会社は活気に溢れている。誰もが自由に企画を考えて提出したり、意見を述べ合ったりする討論会も行われる。もちろん反省会なども活発に行われている。
そして、誰もがやるべきことを分かっていて、それを踏まえてから企画や意見を出しているのだ。
俺がやること……。
やりたいこと……。
社員たちは須藤を尊愛している。この社長の下で働きたいと願っている。
「俺が鷹を連れている理由?」
どうして誘ったのか。
「言ったはずだよ。深い探究心と強い精神力だって。お前はそれに溢れている。自分が何をしたいのか足掻いて探している。だから俺はお前が欲しくなった」
「探しているだけで答えは見つからない」
「だけど、前には進んでいるよ。俺に付いて来る理由はそれだよね」
須藤は相変わらずののんびり口調だ。
「俺が社長について行く理由……」
それは須藤がおいでと言ったから。
だけど、それはきっかけだ。それが須藤についている理由。
考え込んだ俺はその場に立ち止まった。
須藤伊織。経済界で名前を知らない者はいないほどの経営手腕を持つ男。
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