魔王様はお花見がしたい!

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魔王様はお花見がしたい!

「皆の者、よく集まってくれた」  玉座の魔、ずらっと集合した魔王軍のメンバー。部下である俺は、魔王様の顔色を見て眉をひそめた。  明らかに疲れきっている。  ここ最近、連日で新しい魔法の研究をしていたと聞く。ちゃんと眠れていないのかもしれない。――いかんせん、最近少し膠着状態とはいえ、勇者との闘いはこれからもっと激しくなると見込まれるのだから。  人間達は次々と新しい勇者をスカウトし、優秀な戦士の数を増やしている。  魔王軍の方がまだ数は多いとはいえ、油断はできない。なんせ世界征服は、初代魔王から続くわれらが悲願なのだから。 「このたび、皆に頼みたいのは他でもない。……我らが魔王軍がより繁栄するための儀式を行う……その準備に、力を貸して欲しいのだ」 「儀式、でございますか?」 「作用。我らが軍の指揮を高めるのに必要な宴である」 「おおおおお!」  それを聞いて、魔王軍の者達はみんないきり立った。  戦争中だということはわかっているが、やはり娯楽は必要なのである。魔族は基本的に、パーティが好きな者が多い。俺も例外ではない。身内を集めてホームパーティをすることも多いし、酒の席では無礼講で魔王様のような遥か格上の階級の方と肩をくんで歌ったり踊ったりすることもできるのだ。  最近、ストレスが溜まっていた者も多い。宴と聴いて喜ぶのも当然のことだろう。問題は。 「しかし、準備とはいかに?必要な物資の買い出しでしょうか?」  俺の問に、魔王様は“それもあるが”と渋い顔をした。 「宴を邪魔する、憎い敵を排除せねばならん。そのためには、特別な結界を張る必要があるのだ。皆にも協力してもらえんだろうか」  彼が詳しい事情を説明すると、誰もが“ああ!”と納得した。確かに、宴も儀式も、間違いなく妨害される要素である。根絶することが難しい以上、結界で内側を守るしか術があるまい。  これは協力せばと、誰もが拳を握ったのだった。
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