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川辺の千本桜
通勤電車に乗って川を渡る。土手には千本桜と呼ばれている桜並木が見える。
うららかな日差しを受けて光る桜を見ながら、ちょうど今頃はお花見シーズンなのだろうなと思う。
仕事が忙しくて、お花見をする時間も暇もない。それを嘆く同僚はいるけれど、俺は毎朝電車の中から桜並木を眺められるからそれで満足していた。そもそも、宴会を伴うお花見自体が苦手なのだ。
でも、桜並木の下をゆっくりと歩きたいという気持ちはある。日差しの下でも、雨が降る中でも、静かな環境でゆっくりと。
そうは思うけれど、桜の木に近づくのがなぜだかこわい。
もしかしたら、電車の窓越しで見ているだけでも、桜の花に吸い込まれそうな心地がするからかもしれない。
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