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後で知った事だけれど。
現存する全てのソメイヨシノは、優良個体とされた一本の交雑種から、接ぎ木・挿し木という技術によって造られたクローンであるらしい。
つまりある意味、ソメイヨシノの木は日本に一本しかない、とも言えるのだという。
だから皆で想いを一つに協力する事が出来たのだろう。
しかし、人間だってそうではないだろうか。
いろんな者がいるとは言っても、同じ国に、同じ星に、同じ宇宙に生まれた仲間ならば、想いを一つに出来るのではないだろうか。
それがどんな想いであるべきなのか、僕には述べる事は出来ないけれど。
叶うならもう一度、あの人に会ってみたいとは思うよ。
はっきりと思い出せないが、夜桜の様な妖艶な美女であった事は確かなのだ。空が明るいうちには晴れやかな少女の姿で現れるのだろうか。
いや、桜の妖精ではないのだから、関係ないのかな。
だが、その時はきっとまた……
今度は同じ手は通じないだろう。
世の中にはいろんな人がいるものだが、あの桜色の龍と同じで、あんな人には二度と出会えない。それでいいのさ。
今日も良い写真が撮れた。これからも僕は桜を追いかけ、撮り続けるだろう。
人知れずこの国を守った、愛すべき花を。
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