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この国、日本が気に入って、住もうと決めて十年になるかな。
何がそんなに気に入ったかと言えば、まずは形だ。
非常にくだらない想像なのだけれど。
九州・四国・本州・北海道の四つの島をメインに細長く伸びたこの国は、一つの生き物の様に見えないかい?
そう、まるで龍の様に。
西洋のドラゴンではなく、東洋の龍だ。龍神だ。
九州沖縄、そして四国、中国地方は強靭で逞しく、炎を纏った尾の部分で、関西は柔軟でエネルギー溢れる腰部、関東は硬く鋭い爪を持つ腕。北陸の方の日本海側は風を巻く雄々しい背びれで、太平洋側の東北は誇らしく張った厚い胸。鋭利に尖った精悍な顔が北海道さ。
笑われても構わないさ。このデザインを子供の様に単純にかっこいいと思ったのだ。
そして、そんないかしたデザインのこの国では、龍の尻尾の方から順番に巡って来る四つの季節がとてもはっきりしていて、それぞれが良いものだ。
情熱を燃やす夏には海や山で遊び、恋をして。
過ごしやすい実りの秋には紅葉を眺め、美味しい物を食べて力を蓄え。
厳しい冬には雪と戯れ共存し、一年の終わりと始まりを祝福する。
そして、命が芽吹く春に若者達は新たな門出を迎え、人々はみんなこぞって花見に出掛けるのだ。
これは桜が咲く日本ならではの春の風物詩だろう。風流、と言うのかな?
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