ギルディア

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ギルディア

 影丸龍として秘密結社へ入ると、すぐに頭角を現わし、トントン拍子に大幹部へ昇進した。人望もあり多くの部下たちも慕っていた。間違いなく実力は折り紙つきだ。  今では大幹部派として部下を率いていた。  そのため悪の秘密結社ギルディアでは内部抗争が激化していた。  もちろん大幹部のダークネス・ギルディアは表立って首領のベガに反旗を(ひるがえ)したワケではない。  あくまで現在のところは影の存在だ。  けれどもギルディアの創始者の首領ベガと大幹部のダークネス・ギルディアの対立は日に日に激しさを増していた。各々の派閥による主導権争いだ。  そのダークネス・ギルディアにとって高級ソープランド『シャングリ・ラ』でのひと時は、かけがえの無い(いこ)いの場だった。桃田ピーチの天使の腰使いのトリコといっても過言ではない。 「フフゥン、じゃァダーリン。お願いだよ。チップちょうだい」  桃田ピーチは可愛らしくねだった。あざとい美少女だ。 「ああァ、仕方ないなァ。わかったよ」  大幹部も苦笑し財布を手に取った。  その財布から新しい1万円札を出し、小さく折りたたんで口にくわえた。 「ンううゥ……」  口移しで1万円札をソープ嬢の桃田ピーチへ渡した。まるでどこかの青年局みたいだ。 「フフゥン、サンキュ。ダーリン」 「これで滞納しているスマホ代くらい払えるだろう」 「ええェ、じゃァエクストラ・ラウンドに()っちゃうゥ。ダーリン」 「フフゥン、望むところだ」
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