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ソープ嬢
「ン、なんだ?」
謎のイケメン常連客も面倒くさそうに微笑んだ。
ここは高級ソープランド『シャングリ・ラ』の店内だ。高級感あふれるゴージャスな作りになっていた。間接照明の桃色の明かりがなんとなく妖しく艶めかしい。
ふたりはベッドの上で寝転んで寛いでいた。
とろけるように甘美で蠱惑的な匂いが鼻孔をくすぐっていく。
桃田ピーチは、この高級ソープ『シャングリ・ラ』の売れっ子ソープ嬢だ。アイドル顔負けの可愛らしさでナンバーワンとして君臨していた。
童顔なのに爆乳というマニア垂涎のソープ嬢と言えるだろう。
SNSの総フォロワー数も五百万人に届く勢いで現在、もっとも予約の取れないソープ嬢のひとりと言われていた。
しかも天使の腰使いに常連客たちも虜だ。
どんなに強靭な男性客でも彼女の下半身には太刀打ち出来ないだろう。
もはや常連客らは桃田ピーチなしには生きていられない身体にされていた。
そして彼女の常連客のひとりがグラサンをかけた謎の男だった。
イケメンだが少し影がある。黙ってシリアスな顔をしているとヒットマンみたいに見えた。
年齢不詳だ。しかし間違いなく桃田ピーチよりは年上だろう。
よほど鍛えているのだろうか。新日本プロレスの若手レスラーのように筋肉質で引き締まった身体をしていた。ケンカや格闘技に長けているのだろう。
なにしろ彼の正体は悪の秘密結社『ギルディア』の大幹部だ。
秘密結社ではダークネス・ギルディアと名乗っていた。悪の秘密結社『ギルディア』の中でも、いち目置かれた存在だ。
しかしこのソープランド『シャングリ・ラ』では世を忍ぶ仮の姿で接客を受けていた。
一般生活では悪の秘密結社の大幹部という事を隠し、影丸龍と言う名前で暮らしていた。そしてその大幹部が贔屓にしているのが、すぐ側にいる桃田ピーチと言うソープ嬢だった。
大幹部にとって彼女と過ごすひと時は憩いの時間だった。
けれどもピーチの天使の腰使いに掛かれば悪の大幹部と言えどもひと溜まりもない。もはや彼女なしには生きていられない身体にされていた。
「ねえェ、ダーリン。ちょっとお願いがあるんだけどォ」
またもや桃田ピーチは大幹部に子猫のように甘えてみせた。
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