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さすがに大幹部もタジタジだ
「なによ。悪気がなかったら、正義の味方をボロ雑巾みたいに使っても良いワケェ。都合の良い女みたいな存在なの。正義の味方って?」
桃田ピーチはカッとして突っかかった。
「いやいや、決してそんなことはないよ」
「一般人にとって、正義の味方なんて使い捨てのヒーローなのよ。自分がピンチの時だけ都合よく助けてもらって。正義の味方には一円たりとも援助しない。こっちは生活費にさえ困っているのに。逆にこっちが見返りを要求すればワル者の怪人でも見るような眼差しで見やがって、さァ!」
「いやァ、きっとみんな心の中では感謝しているよ。マジで!」
「口では感謝しても報酬は支払わないのよ。ピーチもソープランドで稼いだ貯金を少しずつ切り崩して、ほそぼそと正義の味方をやってるんだから」
よほど桃田ピーチも据え兼ねたのか、文句のオンパレードだ。
「いやいや、そんなァ、オレにクレームをつけられても」
さすがに悪の大幹部もタジタジだ。第一、クレームをつけられる筋合いではない。
「だいたい真夜中だって、土日祝日だっていっさい構わず、タダ働きなのよ。銀行のATMだって六時を過ぎたら時間外の手数料取るのに、さァ」
「そりゃァ、相当、ブラック職業だね。正義の味方は。悪の秘密結社『ギルディア』だって、そんなヒドい労働環境じゃないのに」
「ええェ、私も正義の味方を廃業したら暴露本でも出そうかしら。この世に正義の味方ほど『ブラック職業はない』って!」
「暴露本かァ。そりゃァ良いね。今の話しじゃァ、正義の味方は反社会的勢力と変わりないからね」
「そうよ。命がけでみんなのために働いて、地球の平和を守っても、一円にもならないなんて。下手な内職以下よ。反社会的勢力なのよ。正義の味方って!」
「ああァ、これからは、もっと労働環境を整えないと正義の味方も良い人材は確保出来ないだろうね」
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