千夜くんの過去

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〜香澄との馴れ初め、詳細エピソード〜 秋になると陽気も良くて、つい屋上で寝入っちまうな。 下校時間も迫った放課後の廊下を3年B組の教室に向かいながら、俺は伸びをして、そう思った。 もう教室には誰もいないだろう。 そう思って、ズカズカ中に入って行くと、小さな悲鳴と共に、物が落ちる音が響いた。 「香澄?」 「ビックリしたー…千夜くんだったのね。もう誰も来ないと思っていたから…」 どうやら、文化祭で使う道具を片付けていた香澄を驚かせちまったらしい。 俺は責任を感じて、道具を拾っている香澄を手伝おうと、奴の直ぐ近くに行き、共に拾い出した。 「何で、あんたが1人で、こんなことしてるんだよ?」 「私、文化祭実行委員だから。手伝ってくれてた子たちもいたけど、もうじき下校時刻でしょう?先に帰ってもらったの」 2人で道具を拾い集め、最後の1つに互いの手が伸び、軽く触れる。 「あ…」 香澄が手を引っ込めたから、俺が道具を拾った。 道具を香澄に渡すと、奴は顔を真っ赤にしてる。 「香澄。顔、紅いぞ。風邪でも引いたんじゃねーか?」 「ううん、大丈夫。それよりも、その裾…」 見ると香澄は俺の制服の裾を見つめていた。 「ほつれているから、直すわ。裁縫箱も丁度ここに在るし」
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