千夜くんの過去

9/12
前へ
/45ページ
次へ
俺だけなら、まだ我慢出来た。 だが、連中が香澄の下駄箱にヘビを入れたり、制服に生卵をぶつけたり、教科書とノートを切り刻んだり。 連中は、俺にするよりも直接的な方法で、香澄にまで手を出してきやがった。 明奈からその話を聞いた俺は単身、征矢等が屯してる場所まで出向いた。 「およ?千夜〜、戻ってくる気になったのかあ?今なら土下座すれば許してやるぜえ!」 「それはコッチの台詞だ。俺だけなら、まだ良い。ムカつくけどな。だが、香澄にまで手を出しやがった、あんた等は…!」 俺は近くに居てニヤニヤ笑っていた、かつての仲間の1人を殴り飛ばした。 「ただじゃおかねー!」 「テメェ!嘗めた真似してんなよ!」 一斉に襲い掛かって来る征矢等。 応戦した俺は何とか撃退したものの、流石に無傷とはいかなかった。 「千夜くん!!」 ボロボロになって、血を流しながら、フラフラと寮の近くにまで戻ってきた俺の元に、香澄が駆け寄って来た。 その無事な姿を目にした俺は、安心して足元から頽れた。 「香澄…もうじき、門限になるぞ…」 「それどころじゃないわ!明奈から千夜くんが不良のお友達の所へ行ったって聞いて…。戦うこと好きみたいだけど、無理しないで…」 俺の頭を自分の膝の上に乗せた香澄の目から涙がこぼれ落ちる。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加