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千夜くんの過去
香澄や鈴木、山村に出会ったのは、そんな頃だった。
バイク乗りというと、ぞんざいなイメージを持たれがちだが、根はどいつもこいつも優しい連中だった。
不良グループで北海道まで船にバイクを乗せて、走りに行ったこともある。
その時、1人の女が船酔いでもしたのか、具合悪そうにしていた。
発見したのは、俺等野郎グループ。
だが、1人の女に野郎が大勢で声を掛けたら、余計に具合が悪くなるだろう。
だから、俺等は少し離れたところにいた女グループに、声を掛けてあげねーか、尋ねた。
女グループは2つ返事で快諾し、具合が悪い女の元に声を掛けに行った。
…と、いうように、下手な野郎共より女に対して気遣いができるのが、バイク乗り野郎共の一面だった。
だが、学園内では俺は初め香澄と距離を置いていた。
鈴木とは、学生寮で同じ部屋だった事もあり、会ったら声は交わしていたが、俺は夜遊びばかりしていたから、寮の部屋には滅多に居なかった。
山村とは、料理部で一緒だったから、やはり、奴の対人能力の高さもあって、自然とつるむことが多かった。
鈴木は、女は男を縛るものだと言い、俺の女遊びを良く思っていなかった。
俺は山村を連れて、女も集まるパーティーに行く予定が、途中で他校の不良グループと喧嘩になった。
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