15人が本棚に入れています
本棚に追加
「それはコッチの台詞だ。女のくせに、イキがってんじゃねー!」
俺は思わず女の胸ぐらを掴んで引き寄せた。
すると、柔らかく弾力のある感触が腕に当たった。
それが何かを視認する前に、頬に鋭い痛みが走った。
俺の腕が女の胸に当たって、ビンタを喰らった事を理解するのに、そんなに時間は掛からなかった。
「何すんだ!?」
女は顔を紅くしてそう叫ぶと、俺の腕を振り払った。
俺は何故だか知らねーが、さっきまでの怒りが鎮まっていくのを感じる。
と、同時に目の前で俺を睨んでいる女に興味が湧いた。
「あんた、名前は?」
「千夜明奈(せんや あきな)だよ」
「千夜…?」
「そう言う、お前は?」
「千夜保」
「チッ!同じ苗字かよ」
そう言うと、女…明奈は去って行った。
野次馬が集まり出していたのが、バラけていく。
俺はビンタされた頬に、そっと手をやった。
喧嘩の後だったからかもしれねーが、頬は俺が思っていたより、ずっとヒリヒリしていた。
香澄と親しくなったのは、もう少し先。
やがて、時は過ぎて文化祭の時期になった。
俺は放課後、教室で1人で準備の後片付けをしている香澄を見かけた。
香澄は、てっきり優等生の良い子ちゃんかと思っていたが、あれから明奈達とも連んでいるのを頻繁に目撃した。
香澄、明奈、後は別のクラスの名前も知らねー女3人。
最初のコメントを投稿しよう!