千夜くんの過去

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「それはコッチの台詞だ。女のくせに、イキがってんじゃねー!」 俺は思わず女の胸ぐらを掴んで引き寄せた。 すると、柔らかく弾力のある感触が腕に当たった。 それが何かを視認する前に、頬に鋭い痛みが走った。 俺の腕が女の胸に当たって、ビンタを喰らった事を理解するのに、そんなに時間は掛からなかった。 「何すんだ!?」 女は顔を紅くしてそう叫ぶと、俺の腕を振り払った。 俺は何故だか知らねーが、さっきまでの怒りが鎮まっていくのを感じる。 と、同時に目の前で俺を睨んでいる女に興味が湧いた。 「あんた、名前は?」 「千夜明奈(せんや あきな)だよ」 「千夜…?」 「そう言う、お前は?」 「千夜保」 「チッ!同じ苗字かよ」 そう言うと、女…明奈は去って行った。 野次馬が集まり出していたのが、バラけていく。 俺はビンタされた頬に、そっと手をやった。 喧嘩の後だったからかもしれねーが、頬は俺が思っていたより、ずっとヒリヒリしていた。 香澄と親しくなったのは、もう少し先。 やがて、時は過ぎて文化祭の時期になった。 俺は放課後、教室で1人で準備の後片付けをしている香澄を見かけた。 香澄は、てっきり優等生の良い子ちゃんかと思っていたが、あれから明奈達とも連んでいるのを頻繁に目撃した。 香澄、明奈、後は別のクラスの名前も知らねー女3人。
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