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5人で連むか、香澄は時々、鈴木とも話しているようだった。
俺が、この時、香澄の手伝いを申し出たのは、単なる気紛れだった。
だが、2人きりになった教室で、俺は香澄を女として見るようになった。
きっかけは、単純だ。
文化祭の後片付けを2人でしていると、香澄が俺の制服の裾のほつれに気付いた。
縫って直すと言った香澄に、俺は始めは断った。
どうせ喧嘩すりゃー、又ほつれるんだ。
要らねー世話だと言った俺に香澄は怯むこと無く「片付けしてもらっている間に直すから」と言って、引き下がらなかった。
俺は赤シャツ1枚になり、片付けを手際良く済ませた。
見ると、制服の裾は本当に綺麗に直っていた。
俺は本心から言った。
「上手いもんだな。良い嫁さんになれっぞ。俺がもらってやりてー位だ」
その時、香澄から告られた。
初めて逢った時から、ずっと好きだったと。
この日を境に俺と香澄の距離は一気に縮まった。
だが、それを良く思わない俺の不良仲間が事あるごとに嫌がらせをしてきた。
だが、明奈達や鈴木と山村のお陰で、俺と香澄はそれを乗り越えて、絆は一層強くなった。
そして、卒業式の日。
桜が舞い散る校庭の片隅で俺はフランスに旅立つ直前に、香澄に告げた。
「パティシエになったら、結婚しよう」
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