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『華世、城址公園の桜が来週に満開の予報らしいから混む前に行かない? 気分転換にいいよ、お花見! お弁当作るか、買ってもいいしさあ』
「ん、うーん。やめとく。まだそんな気になれない。ごめん、由美」
数少ない友達の由美からの誘いの電話は、謝りつつも拒否した。
気に掛けてくれるのはありがたいけど、今はほっといて欲しいのよ。
前回部屋に来たのをすぐに追い返したせいもあるのかな。
「余計なお世話よ!」って突っぱねられなかったのは、彼女が本当に私を心配してくれてるのがわかるから。
「花見」なのもこの部屋を見たからね、きっと。
あの日、いくつもの花瓶やコップに飾られた切り花に驚いていた由美の表情が浮かぶ。
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