「回想の中の鳥」

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△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽ ──────普段なら。 俺は昼の時間教室で弁当を食べるか、学食に行って適当な物を買って腹ごなしするくらいのものだった。 間違っても学校の屋上なんてまず候補には入らないし、行くはずは無い。 ましてや、立ち入り禁止なんだから入った事がバレたら大目玉をくらうはずだ。 友達が居ないわけじゃないが、かと言って多いほうでもない。その日は特別不運だったんだろう。──────いや、一概にそうとも言えないけど。 いつも一緒に食べる友達は偶然2人とも休みになってしまった。 ならばと第二候補である人達と食べようと、教室を見渡せばそいつらも居ない。 いつもつるんでいる人達(俺との仲はそうでも無い。一緒に弁当を食べるのは気まずい程度の距離感と言えば分かるだろうか)に聞けば、タイミング悪く、それぞれ部活やら委員会やらで昼休み中は席を外しているとの事。 仕方ないので1人で食べるか・・・・・・となった矢先。さっきまで俺のいた席は別のグループに占領されていた。 コミュ障とまではいかないにしても、生憎、余り話した事の無いクラスメイト達に、わざわざ退いてと強く言えるほどのメンタルは持ち合わせていなかった。 哀れ。教室に居場所が無くなり気まずくなった俺は、弁当を持って宛もなく校舎を彷徨い始めたのであった。 ──────しばらく歩いて、その場所に目が止まった。屋上へと続く階段。先程も説明したように、俺は普段ならこんな所に用なんて無かったが、今日は暇を持て余している。 たまには屋上で一人アンニュイなランチタイムを過ごすのもいいかと思い立ち、どうか誰も居ませんように。ついでにバレませんように・・・・・・という願いの元、階段を登り、看板を退けて、その扉を開けた。 ──────今思うと、この時の俺の行動は俺の中でも賛否別れる運命的な選択だったと思ってる。
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