古流剣術家『鎖碧』

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 今日は剣の持ち方のレクチャーをします。  現代剣道だと握力で剣を握って、手に血豆ができたら「努力の証!」と、自慢できますし、ほぼ全ての創作作品でも「握力 イズ パワー!」みたいな描写が多いですし、僕もかつては、そう思ってました。  が、なんと古流の世界では、これ全部「ブッブー! それ下手くその証でーす!」と言われてショックを受けた事があります。  どうやら古流では握力で剣を握ってはダメダメらしいです。  じゃあ、どうやって剣を持つの?  今から細かく説明します。  まず、手首を外側に曲げた『切り手』と言う状態を作ります。(内側に曲げるのは「巻手(まきて)」と言います)  次に、剣の柄を上から親指と人差し指で挟んで、人差し指の付け根「龍骨(りゅうこつ)」と掌底の「虎骨(ここつ)」の二点で支えてるだけなのです。  つまり、手のひらで支えてるだけで、ほとんど指で握ってません。  それだと使ってない指は? て、なりますよね。握りませんが、軽く曲げておきます。  指を伸ばしてると相手に斬られる危険性があるからです。  なんでこんな奇妙な持ち方をするのか、これを説明すると長くなるのですが、ザックリ言いますと、剣は腕の力を使わずに振る為です。  腕の力ではなく、足腰から発生した力が背骨を登って腕に伝わって、剣を振ってるような感じです。  順番としましては足腰→剣→腕と、腕はオマケ程度に使ってる感じです。  うん、シンプルなのですが、これは相当難しいテクニックで、10年もやってるけど、未だに上手くいかないです。  まず、手、腕、肩、胸の筋肉の力みを徹底的に抜かないと足腰の力を使えないのです。  いや、本当に厳しい、ほんの少し筋肉が力んだだけで「アウトー!」て、言われるので、力みを完全に捨て去る努力を今でも続けてます。  うーん、力んだらダメな理由はいつか話すとして、次回は姿勢の話をします。  姿勢は剣術の世界だけじゃなく、日常生活でも大切な要素です。
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