古流剣術家『鎖碧』

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 やっほーです。今日は中段の構えを解説するっす!  と言うか、これは僕の愚痴ですが、一つの構えだけで複数の名前が存在するのが剣術の世界では当たり前の事なのです。  なので、たまーに「陰の構え!」て、言われた時「陰!? そんな構えやったっけ!?」て、困惑したのを覚えてます。  正解は八相(はっそう)の構えで、八相の構えには陰の構え、木の構えなど、たぶん僕の知らない別の名前も存在すると思います。  で、今回は中段の話なので、八相はまた今度にします。  まず、中段の構えには「水の構え」「青眼(せいがん)の構え」「参商(さんしょう)の構え」とか、まー名前が多い、これ全部中段の構えなんですけどね。  中段の構えは剣先の高さは自分の喉の高さで、両腕の肘は軽く曲げて、左手は自分のへその前に来ます。  この構えはカッコつけの構えでは無く、その気になれば、いつでも相手の喉を突き刺す事が可能な構えです。  現代剣道だと剣先をカチャカチャ動かしますが、古流では、絶対に剣先を相手の喉元から外してはいけません。  こうする事によって、相手も迂闊(うかつ)には踏み込めないのです。  肘を曲げるのも、いつでも突けるようにするためです。  このイメージが湧かないのであれば、ボクシングをイメージしてください。  ボクシングだって、最初っから相手を殴る為に両肘を曲げて構えてるじゃないですか。  原理は同じです。  逆に両肘をピーンと張って、剣先を相手の喉から外してしまうと、剣術家目線だと全然怖くないので、僕だったら、そのまま肩を斬らせて踏み込むと思います。  まぁ総合しますと、剣術だけじゃなく、ほぼ全ての武術の構えはカッコ良いから構えてるわけじゃありません。  僕は中段以外の構えをたくさん知ってますが、カッコつけの構えは存在しません。  厳しい話で恐縮ですが、もしも創作とかで何かしらの構えを見たり、思い付いたりしたら、自分に問い掛けてください。 「この構えで本当に戦えるのか?」と。  全ての構えに意味は必ず存在します。存在しない構えはありません。  と、すみません、なんか上から目線になってしまいました。  次回は上段の構えの話です。  中段、上段の構えができて、ようやく素振りができるので、もう少しの辛抱です。
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