深紅の傷み

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3  二人で弾けた後、ぼんやりとベッドで横になる。 「先輩、すごすぎです……僕が教えなきゃって思ってたのに」 「まあ、男初めてだったけど、あんまり女と変わんないっていうか」 「すごーく気持ち良かったです……」  ぎゅ、と俺の腕を掴む。潤一郎は、本当に可愛かった。 「どこで憶えたんだ、あんなテク。高校生、しかも医大受験するような子が」 「あの、実は……医大受験する子の売りセン専用サイトがあって」 「え」  俺は耳を疑った。 「僕、そこでバイトしていました。受かるまで金銭の援助をしてくれるのでとても助かって」 「違法じゃん」 「でも、僕のような貧乏人には……すごく助けになりました」  布団で身体を隠しながら言う潤一郎は、恥じらいがあって美しい。女の方が、よほど図々しい。 「そのサイトって言うのは、なんで医学生を応援してるんだろうな」 「分かりません、でも、なんだかそのサイトの長?は外科の偉い先生だとか。僕は懇意にしてもらって、志望も外科に」 「へえー」  世の中にはそんなサイトまであるのか、と感心する。でも少年売春を正当化したくは無いが…… 「すごくさみしがっている先生で。僕が癒してました。その代わり、バイト代も弾んでくれて……でも、おじいちゃんだから。先輩として、こんない気持ち良くってびっくりしました」 「ふうん……」  俺が気持ちいい、俺の方が、と言われると嫌な気持ちはしないが、その外科……どんな教授なんだろう。世間に出たら偉いことだが…… 「とにかく、潤一郎。俺の初めて、もらってくれてありがとうな」 「いえ、そんな……僕が初めてじゃ無くって心苦しいですが。先輩にあげたかったです、僕の処女」 「濡れててエロかったよ。柔らかくって」 「やだ」 「ほんとだよ。エロくて可愛くて。最高じゃん潤一郎って」 「僕、初めて好きになった人です。先輩のこと」 「嬉しいね」 「先輩、僕……先輩と出会って良かった。もし、離れても、外科で仕事していたらいつか……会えますよね」 「そうだな、いつか会える。必ず」 「はい、僕のこと……忘れないでくださいね」  分かった、と言ってその日は眠った……昼頃に起きて、講義に出たんだっけ。二人で牛丼食って、雑に寝て、セックスして、飲んで……しばらくは潤一郎が彼女のように過ごした。  俺の論文が忙しくなる頃、潤一郎もレポートが忙しくてすれ違いになり、サークルにも顔出しなくなり、自然と関係は消滅した。  アドレスこそ残っているが、未だに連絡していない、せずに、優に十年以上経っている。
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