27人が本棚に入れています
本棚に追加
3
二人で弾けた後、ぼんやりとベッドで横になる。
「先輩、すごすぎです……僕が教えなきゃって思ってたのに」
「まあ、男初めてだったけど、あんまり女と変わんないっていうか」
「すごーく気持ち良かったです……」
ぎゅ、と俺の腕を掴む。潤一郎は、本当に可愛かった。
「どこで憶えたんだ、あんなテク。高校生、しかも医大受験するような子が」
「あの、実は……医大受験する子の売りセン専用サイトがあって」
「え」
俺は耳を疑った。
「僕、そこでバイトしていました。受かるまで金銭の援助をしてくれるのでとても助かって」
「違法じゃん」
「でも、僕のような貧乏人には……すごく助けになりました」
布団で身体を隠しながら言う潤一郎は、恥じらいがあって美しい。女の方が、よほど図々しい。
「そのサイトって言うのは、なんで医学生を応援してるんだろうな」
「分かりません、でも、なんだかそのサイトの長?は外科の偉い先生だとか。僕は懇意にしてもらって、志望も外科に」
「へえー」
世の中にはそんなサイトまであるのか、と感心する。でも少年売春を正当化したくは無いが……
「すごくさみしがっている先生で。僕が癒してました。その代わり、バイト代も弾んでくれて……でも、おじいちゃんだから。先輩として、こんない気持ち良くってびっくりしました」
「ふうん……」
俺が気持ちいい、俺の方が、と言われると嫌な気持ちはしないが、その外科……どんな教授なんだろう。世間に出たら偉いことだが……
「とにかく、潤一郎。俺の初めて、もらってくれてありがとうな」
「いえ、そんな……僕が初めてじゃ無くって心苦しいですが。先輩にあげたかったです、僕の処女」
「濡れててエロかったよ。柔らかくって」
「やだ」
「ほんとだよ。エロくて可愛くて。最高じゃん潤一郎って」
「僕、初めて好きになった人です。先輩のこと」
「嬉しいね」
「先輩、僕……先輩と出会って良かった。もし、離れても、外科で仕事していたらいつか……会えますよね」
「そうだな、いつか会える。必ず」
「はい、僕のこと……忘れないでくださいね」
分かった、と言ってその日は眠った……昼頃に起きて、講義に出たんだっけ。二人で牛丼食って、雑に寝て、セックスして、飲んで……しばらくは潤一郎が彼女のように過ごした。
俺の論文が忙しくなる頃、潤一郎もレポートが忙しくてすれ違いになり、サークルにも顔出しなくなり、自然と関係は消滅した。
アドレスこそ残っているが、未だに連絡していない、せずに、優に十年以上経っている。
最初のコメントを投稿しよう!