セリカとハルカ

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 ゴミ収集車が来る前にと、菖太朗は昨夜のゴミをひとつの袋にまとめていた。  昨日食べた食材の余りが大量に生ゴミ箱に捨てられている。 「結構食べたつもりだったのに、こんなに残ってるもんなんだな」  菖太朗は匂いに眉を寄せ、ぼやきながらそれをひとまとめにする。  時計を見た。  そろそろハルカが出張から帰ってくる時間だ。  小さく息を吐く。  とりあえず、ハルカが転居してくる前にセリカとかたがついてよかった、と、菖太朗は胸を撫で下ろした。  そのとき、そういえば彼女としばらく連絡がついていないことに気付く。  なにかあったのだろうか、と、一瞬いやな予感が胸をよぎったが、考え過ぎだと苦笑する。  どうせ、スマホの充電が切れたままにしているとか、そんなことだろう。  彼女が帰ってくる前に、ゴミだけでも捨ててこよう、と、菖太朗は生肉だらけのゴミ袋をひとまとめにして、ゴミ捨て場に持って行くのだった。
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