セリカとハルカ

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 テーブルいっぱいに豪華な料理が並んでいる。  コンフィや赤ワイン煮、燻製(くんせい)まである。すべて、セリカの恋人である菖太朗(しょうたろう)の好物の肉料理だ。  今日はふたりにとって特別な日。セリカは今日くらいはと、苦手な料理を頑張ったのだ。 「これはまた、今日はずいぶんと豪華だね」  菖太朗は椅子を引きながら、テーブルに並んだフレンチレストランばりの料理に感心する。  セリカは言った。 「今日はあなたとの最後の料理だもの。特別にしないとと思って」  セリカの「最後」というセリフに、菖太朗はわずかに顔をひきつらせ、唇を引き結んだ。 「もう、そんな顔しないでよ。べつに怒ってないから」  セリカは微笑み、菖太朗が座るテーブルに向かい合うようにして腰を下ろした。 「あぁ……うん」  菖太朗はどこか気まずい顔で頷いた。  セリカと菖太朗は、婚約まで済ませた恋人同士だった。  ……今日までは。
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