きみのこと好きなんだ

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☆  ずっとバスケ一筋でやってきた。  小学校の授業で初めてバスケと出会い、その面白さにのめり込み、すぐにバスケのスポ小に加入した。  俺は当時は小柄だった。  シュートもままならず、相手とぶつかっては跳ね飛ばされ、毎日のように怪我をしていた。  それでも元々俊敏だったのと、小柄だからこそマークされないし、小回りも上手く利いたので小さいながらもチームでは重宝された。  日々練習を重ね、シュートを日に何本も打ち、その成果でぐんぐん身長は伸びた。  中学を卒業する頃はダンクシュートをこなせるようになった。  勉強は嫌いだったけれど、バスケの強豪校に入る為だけに頑張り、今の高校に無事入学した。  そして、高校2年になって、ミチと同じクラスになった。  彼女は誰にでも愛想がよく、可愛らしく、天真爛漫な性格で男子の間でも人気があった。  俺は女子に対して何の関心もなく、新学期にミチと初めて出会い、席が隣になっても彼女に対して何の感情も持たなかった。  一気に俺の中にミチが流れ込んできたのは、9月の学園祭のこと。  うちのクラスはメイド喫茶の模擬店をやることとなった。  女子はメイド服。男子は執事。そんな仮装喫茶だ。  俺はバスケ部として食堂の手伝いにかり出されていたから、クラスの催事にはノータッチだった。  学内外のお客をさばく為、俺はその時食堂の前で案内係だった。  そこへ、学友と現れたのはサチだ。  学食に入ってきて俺に気づいたサチは、にこにこっと笑い、ヒラヒラの短いスカートの裾をつまみ、そこでくるりと一回転をして見せた。 「小谷くん、可愛いーでしょ」  それこそテレビから飛び出したアイドルのように、彼女がキラキラして見えた。    どくん! そこで初めて、俺は女子に対して動悸めきというものを覚えた。  何も言えずに固まってしまった俺にきょとんとして、そして俺の顔を覗き込んでくる。 「可愛くない?」 「……」  尚も何も言えずだった。  自分の胸のざわつきに戸惑ってしまっていたのだ。  ミチたちはその後、お腹すいたー、と何事もなかったように俺をすり抜けて中へと入って行った。  可愛い……。  甘い感情が身体中を駆け巡り、そんな自分の感情にびっくりしていた。  
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