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僕の思考を遮断するように、スマートフォンのアラームが突然鳴り始めた。このアラームが鳴ったら、学校へ行く準備をしなければ遅刻してしまう。最後の通達だ。
でも、その前に、まずは左腕と手を隠すための策を講じなければ。
僕はベッドを離れ、クローゼットを開けた。中には中学生のときに母からプレゼントされた手袋が収納してある。それに、長袖のスクールシャツも。
季節は初夏。手袋をはめて長袖なんて着て登校すれば、どんな視線が注がれることか。容易に想像できる。
でも、僕にはいらぬ心配だ。それは、教室内でのヒエラルキーが高い人種のみ。
僕が季節外れの手袋なんかを左手にはめて、長袖のシャツを着て登校したところで、よくて一瞥。それから、鼻で笑われる程度だろう。
ハンガーにかけてある長袖シャツを手に取る。
部屋着から長袖のスクールシャツに着替える。
手袋は衣装ボックスの一番下の段の奥に小さく丸めてから入れてある。
衣装ボックスから左の手袋だけを取りだした。バランス的に両方はめるか迷ったけれど、暑苦しそうだったので止めた。
透明な左手に、そっと指を通すと、当然のように五本の指に綺麗に分かれた。
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