坊主めくり

「呪文カード『刀狩り』発動、戦場に出ている『装備カード』を全て『豊臣秀吉』に装備させる、これでそっちの『明智光秀』の装備カードはなくなった」
花見の席でトレーディングカードゲーム『激戦坊主めくり』のプレイヤー、米山英美は対戦相手の美月幸太郎が出した『明智光秀』が装備している何枚かのカードを奪う。
「ちょっと待て、装備カードの説明を読んで見ろ」美月は待ったをかける。
「刀・切刃貞宗(きりはさだむね)は『明智光秀』しか装備出来ない。南蛮胴具足は『明智光秀』しか装備出来ない。兎耳型兜は『明智光秀』しか装備出来ない。嘘！」
「これで『明智光秀』の攻撃力は元に戻った。景勝地カード『明智長山城』の効果で更に攻撃力アップだ」
「くっ、だがこっちにも切り札はあるの、手札から景勝地カード『一夜城』を召喚。相手がパワーアップしたぶんこちらもパワーアップする。これで明智光秀に討ち入り」
豊臣秀吉の武力が、明智光秀より上回っていたので場に出ていた明智光秀カードと装備カードは墓地に送られた。
「それで有利にたったつもりか、俺にも切り札はあるんだ『明智光秀』が墓地に送られた時、デッキから『南海坊天海』を一体召喚出来るんだ。という訳で『南海坊天海』いでよ！」
幸太郎はデッキから『南海坊天海』を場に出した。
「出したかそのカード、その一枚でどこまで戦えるでしょうね。ターンエンド」
「俺のターン、一枚出陣するぜ」幸太郎はデッキからカードを一枚引いて確認する「こいつを使わせて貰うぜ『天海の結界』。こちらが討ち入りで受けたダメージは全て対戦相手に跳ね返す」
「ああ、討ち入りが出来ないじゃない。こうなればこのカードで対抗するしか」英美は手札のカードから『寺院法度』を確認する『場に残る全ての呪文カードは無効化される』と書いてある。つまり『天海の結界』の効果は消滅するが、自分の呪文カードも無効化される両刃の剣だ。しかし追加効果として『僧侶カード』は討ち入りが出来ないメリットもある。先程の『明智光秀』は墓地に送られた後出家して『南海坊天海』として場に出たので討ち入りに参加は出来ないのだ。この状況では討ち入りする為というより『天海の結界』を使う為というニュアンスが強い。
「どうすれば良い、僧侶カードを一掃出来る『延暦寺焼き討ち』は使ったし『伴天連追放令』のカードはない、ていうかあれは切支丹属性にしか効かないじゃない。やはり厄介な結界を先にどうにかしないと、使えるのはこれか」
英美は『呪具カード』の「百鬼夜行絵巻」を場に出して宣言する『一ターン事に魑魅魍魎トークンを一体場に出す。また場に出ている全ての物怪カードは武力に一点追加される』
「『百鬼夜行絵巻』により戦場に魑魅魍魎トークンを一体召喚」トークン用のビー玉をカードの上に「取り敢えずこれでターンエンド！」