坊主めくり

『百鬼夜行絵巻』は攻撃力では二番目に強い、一番低いのは『鳥獣戯画』で、ダントツの攻撃力を誇るのが『稲生物怪録』だがレア度が高くてなかなか当たらない。しかし、トークンを量産してかずが溜まったら結界を破って総攻撃をすれば、勝ち筋は見えて来るかもしれない。
「なるほど、数術参謀で来るか。ならば俺は『呪具カード、宗教世界膝栗毛』を使わせて貰う」
『宗教世界膝栗毛』は『東海道中膝栗毛』の二次創作と呼ばれている、そこから得た効果として『対戦相手の呪具カード効果をコピー出来る』
「ちょっと待って」
「そっちが数で来るならこっちも数で対抗させて貰うまでだ」
「戦力的には五分五分、しかし僧侶カードは討ち入りに適さないしから、天海は倒せるけど、物怪トークンはあっちもパワーアップされている。同じ数で攻めるなら……」
英美は手札を確認する『僧侶カード、琵琶法師、耳なし芳一』がある『墓地にある源氏、平家属性のカードのみを場に出す事が出来る。但しその場合、物怪属性となる』と効果が書いてある。
「たちまちこれで、私はターンエンド」
「何か考えがあるようだな、じゃあ俺のターン行くぞ、一枚出陣」幸太郎はデッキからカードを一枚引く「そして出陣した源頼光を場に出してターンエンドだ」
「源頼光『戦場に出ている物怪の数、武力が加算される』総力戦となった場合、頼光だけは場に残る。こっちの作戦を逆手に取るとは……私のターン、一枚出陣するよ」英美もカードを一枚引く
「手札から『源頼朝』を一体場に出して『南海坊天海』に討ち入り！」
「馬鹿め『天海の結界』があるのを忘れたか、ダメージはそのままそっちに跳ね返し『源頼朝』を討ち取ったり！」
「そうね、だけど私は、それが狙いだったの。源頼朝には特殊効果があることを忘れてない？　『源頼朝は墓地に送られるとデッキから聖観音菩薩を特殊召喚出来る』って」
「なに？」
「『聖観音菩薩』はあらゆるカードの効果を受け付けない効果があるの、つまり『天海の結界』を潜り抜けられる。ついでに強化出来るカードが十三枚もあるの」
北条時政、北条義政、三浦義澄、和田義盛、梶原景時、比企能員、安達盛長、足立遠元、八田知家に中原親能、大江広元、三善康信、二階堂行政といったカードを強化出来るがなかなか揃えるのは難しい。
「そうきたか……」
「さあ『聖観音菩薩』で、幸太郎に攻撃するよっ！」
「武力九ってずるいだろそのカード、畜生、寿命が残り十一じゃないか」
「どうする幸太郎？」