二人だけの秘密

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高校二年の夏休み私は補習で学校に来ていた。 教室の中は冷房が効いていて涼しい。 窓から見えるグラウンドは熱気でゆらゆらと揺れて見え、蝉の声が耳にうるさいほど鳴り響いている。 朝から三時間ほど缶詰め状態にされ流石に頭も限界が近いと思い始めた頃やっと解放してもらえた。 はぁ、これがあと二週間も続くのか…疲れた…。 帰り支度をして昇降口に向かい校舎を出ると、むわっとした熱気が体にまとわりついて来る。 あぁ、暑い……早く帰って冷房の効いた部屋でゆっくりしようと考えていた時だった。 どこからか、微かに漂って来る煙草の匂いに気が付いた。 あれ?学校って禁煙じゃなかったっけ? 誰か吸ってるのかな……? 気になって匂いを辿って行くと、校舎裏で煙草を吸いながら空を眺めている担任の上野がいた。 …うっ。これは見てはいけないものを、見た気がする。 早く帰ろう! そっと気づかれないよう立ち去ろうとしたら、後ろから声を掛けられた。 「藤宮~」 ビクッと思わず体が跳ねる。 え?バレた? 恐る恐る振り返ると、そこには煙草をくわえたままこちらを見て微笑む先生の姿があった。 うわ~なんか笑ってるし。 ……あ、何かヤバそう。 本能的にそう感じ、逃げようとしたら近づいて来た先生に腕を掴まれて捕まってしまった。 え、怖いんですけど。 掴まれた腕から先生の体温が伝わってくる。 「お前も一本吸ってみるか?」 にっこり笑うと先生は、長い煙草をこちらに差し出してきた。 「……遠慮します」 「まぁ、そうだよねぇ。高校生が吸うもんじゃないわ。せっかく共犯が出来ると思ったのに…」 そう言って、残念そうな顔をすると私の手を放しまた煙草を咥え直した。 「共犯って…。先生って煙草吸うんですね」 「普段は吸わないよ?たまにね、吸いたくなる時があるんだよ」 「そうなんですか」 そう言って、煙草を口にくわえる姿がやけに様になっている。 白衣にサンダル、少し茶色がかった癖毛がボサっとして冴えない感じだったのに、今は先生の長い睫毛に縁取られた瞳が細められ、妖艶な雰囲気を醸し出している。 思わず見とれていると、不意にこっちを向いた先生と目が合ってしまい慌てて反らす。 そんな私を気にする事なく、先生は話を続ける。
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