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また偶然鉢合わせしてしまった。
何をやってるんだ私は、最悪…。
よりによって、この前と同じ場所で遭遇するなんて。
「あれ?藤宮。今日も補習か?毎日大変だなぁ」
先生は相変わらず冴えない格好で気怠そうに話しかけてくる。
「違います。忘れ物を取りに来ただけです」
手に持っていたプリントを見せ付けるようにして答えると、先生はプリントを覗き込んできた。
距離が近いし、ふわりと漂う煙草の匂いにドキッとする。
「お前これ…すげぇ点数だな……」
まじまじと答案用紙を見て呆れた顔をしている。
「うるさいですよ!だから補習来てるんです」
「ふーん、そっかぁ。まぁ頑張れよ!」
あっけらかんとした様子で励ました後、いつものようにへらっと笑う姿がまた憎めない。
ムッとしている私をよそに煙草に火をつけ始めた。
「そういえば、いやです!って、前に藤宮が言ったからバラされると思って先生ひやひやしたぞ~。黙っててくれたんだな、ありがとな!」
思い出したようにそう言って頭を撫でられた。
突然の事に驚いて固まってしまうと、先生はすぐに手を引っ込める。
「おっと、セクハラだったな。すまん」
笑った顔を見た瞬間、心臓が激しく鳴り出した。
あ、この顔好きだな……。
「……」
「……すき」
「…先生…が好きみたいです私!」
思わず口に出してしまったのに気づいて顔に熱が集まる。
「ん…?」
先生は目を見開いて驚いている。
そりゃそうだろう。いきなりこんな事言われたら驚くよね……自分でも驚いてる。
言ってしまったことに恥ずかしくなって俯いていると、頭上で先生がクククッと笑いだした。
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