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「…何笑ってるんですか!?」
「ごめんごめん、まさか藤宮からそんな事言われるとは思わなくて。ありがとな」
「いえ、どういたしまして……?じゃなくて、人が真剣に告白してるのに!!」
私が怒っているというのに、何が面白いのかずっとクスクス笑っている。
「いやぁ、だって、そんな急に言われても説得力ないぞ?」
「それは……そうかもしれませんけど……」
確かに、急すぎたかもしれない。
「それに、俺これでも一応先生だからね。立場的に応えられないかなぁ」
「はい……」
先生が言っている事は正しい。
私と先生はあくまで先生と生徒であってそれ以上でもそれ以下でもないのだから……。
「うぅ……さっきのは忘れてください」
「あはは、それは無理。一生忘れないわ」
笑いながらさらっとそんな事を言われてしまうと何も言えなくなってしまう。
「そうだねぇ、卒業まで藤宮の気持ちが変わらなかったら考えます」
そう言って優しく頭を撫でられると何だか泣きたくなった。
「……約束ですよ?」
泣きそうになる顔を見られないように下を向いて返事をすると、先生は何も言わずにそっと私を引き寄せた。
…え?これって抱きしめられてる?
突然の事に頭が真っ白になり何も考えられない。
「このことも絶対に二人だけの秘密」
耳元で囁かれる声は甘くて優しくて、胸がきゅっとなる。
先生はゆっくりと腕を解いて体を離すと、あの時と同じようにシッーとする仕草して笑う。
「続きは卒業してから、かな」
「あの、これってどういう……」
「さぁ、何だろうねぇ」
そう言い残して、ひらひらと手を振りながら去っていく後ろ姿をぼーっと眺めながら、熱くなった頬に手を当てた。
──二人しか知らない秘密の恋の始まり──
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