二人だけの秘密

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やっと、この日が来た。 長かったような、短かったような。 色々あったなぁなんて感慨深く思いながら私は廊下を走る。 向かう先は勿論…。 「先生!私、今日で高校卒業しましたよ!」 振り返った先生は少し驚いた顔をしていたが、次の瞬間にはいつもの優しい笑顔になった。 「藤宮、卒業おめでとう」 「ありがとうございます!」 私は満面の笑みを浮かべて答えた。 「先生、約束覚えてますか?」 「覚えてますよぉ」 「私の気持ちは変わってないです!あの時に言ってた事、考えてくれますか?」 「そうだねぇ~」 「秘密もちゃんと守りましたよ?」 いたずらっぽく笑いながら言うと、先生もつられて笑っていた。 「そうみたいだな」 不意に先生が真面目な顔になったかと思うと、私に距離をつめて耳元に口を寄せて囁いた。 「三月いっぱいはまだ高校生だからね。続きは まだ先かな」 その声は低くて優しくて心地良い響きだった。 「はい!待ちます」 私は幸せいっぱいに微笑んだ。
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