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「ビリのやつが呪われる〜!」
「まじでぇ?!」
「ばぁか! そんなルールねぇだろ!」
「今オレが作った〜!」
「ずりぃよ!」
「走れぇっ!!」
彼らのゴールは、50メートル先にある『幽霊屋敷』らしい。ちらりと隣を見ると、アメリは口をへの字に曲げて腕組みしていた。
「全く、失礼だよねぇ! ボロいのは確かだけど」
「まぁ、古いのは確かだね」
「14年住んでて、幽霊なんか見たことないっつ〜の!」
町の子どもたちの間ですっかり有名な、さくら坂の幽霊屋敷。そこは、私の親友、霧島アメリの生家だ。
門柱には「Kirishima」を刻印したおしゃれな表札があり、窓にはカーテンがちゃんとかかっている。が、ひいおばあちゃんの趣味で戦前に建てられたという洋館はさすがに古めかしく、白壁を這い上る蔦の不気味さも手伝ってか、私たちが子どもの頃から「幽霊が出る」と噂されていた。
そのうえ、3年前にアメリの母親が入院してからは庭が荒れてしまい、霧島邸はますます幽霊屋敷らしい見た目になってしまったのだ。
「遥香に話してなかったけどさぁ、この前なんか、夜中に知らない奴らが不法侵入してきたんだよ?」
「え? それほんと?」
「マジのマジ。たぶんユーチューバーとかの肝試し企画だと思うんだけど、3人組でさ、スマホと懐中電灯持って」
「普通に犯罪」
「でしょ〜?! たまたまパパがいたから、『警察呼ぶぞ!』って怒鳴って追い出してた」
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