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「おい見ろよ、幽霊屋敷に車!」  坂を下りてきた学ランの高校生が、霧島邸の手前で声を上げた。 「やめなよ、幽霊屋敷とか言うの」 「だってみんな言ってるし」 「車があるってことは、人がいるってことでしょ?」 「運転手も幽霊かもしれねぇじゃん」 「だから、やめなってば!」 「お前も聞いたことあんだろ? 幽霊屋敷で人魂とか女の幽霊が出るって話」 「ちょ、ちょっと!」  連れの女子高生が、私と目が合って気まずそうな顔になった。別に私は怒ったりしないけど、隣の人と違って。と思えば案の定、アメリは不満そうに頬を膨らませ腕組みしている。 「もう、行くよ!」 「わっ、なんだよ引っ張んなよ」 「バカ! 早く!」  女の子は慌てた様子で男子の腕を取ると、半ば引きずるようにして坂を下りていった。  もしかしてあの子は、私をこの家の住人だと勘違いしたんだろうか。振り向きざまに軽く会釈をして早足で去った彼女たちの背中を見送り、アメリは「男子ってほんとバカだよね!」と憤慨を口に出した。 「ちゃんと見れば、人が住んでる家だって分かると思うんだけど!?」
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