1/6
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/95ページ

ある休みの日の朝 いつもの公園を散歩する 昨日の夜降ってた雨のせいか、いつもより綺麗に見える こういう時の、花とか草とか、木とか、凄く綺麗で、皆が見ないのは勿体ないと思う 大きな木の下から見上げると、葉の1枚1枚に残った水滴に反射した光と、葉と葉の間から射してくる光で、凄く綺麗…… ずっと見上げてたいけど、首痛い…… ほんとは、寝っ転がりたいとこだけど… 大きな木の下を見て歩く 大きな根っこの上なら、あんまり濡れないかな… 大きな木の根の上に座って、大きな幹に寄りかかると、ちょうど綺麗な光景が目に入ってくる 「はぁ……綺麗だなぁ…」 いつも生活してる世界とは別の世界みたいだ くすくす くすくす ? 誰か笑ってる? 俺の隣に誰か居る? あ、俺寝てんのか 誰かな? 凄く楽しそう……嬉しそう あの綺麗なの見たかな…… くすくす くすくす 教えてあげたいな なんで俺こんなに眠たいんだろ…… でも心地いい 綺麗なものに囲まれて…… もう少し、隣に居てくれるかな…… 「ゆず、ゆず……」 「……ん?……あれ…瑞紀?」 「寝てたのか?」 「うん。瑞紀どうしたの?」 周りを見回すけど……誰も居ない 「どうしたって、ゆずが全然戻って来ないから探しに来たんだよ。こんなとこで寝るなよ。危ないなぁ」 あれ……夢だったのかなぁ… すぐ横に居る感じだったけど 俺が寝てる間に、居なくなっちゃったのかな 「ゆず?聞いてるのか?」 「あっ、うん。つい、気持ち良くて…」 「ほら、帰るぞ」 「うん」 女の子の声だった 笑ってたな またいつか会えるかな 何があんなに楽しそうだったんだろ 「ゆず?」 母さんに呼ばれて見ると、父さんも瑞紀も俺を見ている 「えっ?何?」 「何じゃないよ。公園から帰ってから、ずっとぼーっとしてて…公園で何かあったのか?」 「ゆず、マグカップ握ったまま、1分位動いてなかったぞ?」 瑞紀と父さんが言ってくる 「えっ!そう?別に…今日は凄く綺麗だったなと思って」 じっと見てた母さんが、 「そう?ねぇ、ゆず、もしかして恋してるんじゃない?」 「……恋?誰に?」 「それは、ゆずじゃないと分からないわよ。どんな子なの?」 「おお!ゆず!いいぞ!初恋か?!」 「そうなんじゃない?」 皆が勝手に盛り上がってる 「いや、俺が、その相手分かってないんだけど…」 「まあ…じゃあ、ゆずの頭はまだ分かってないのね?大丈夫。ゆずの心はちゃんと分かってるから、また会ったら分かるわ」 「いいなぁ…ゆず!その、これから始まる感じ!何でも父さんに相談するがいい!」 「え?……いや」 「良かったな、ゆず。高校生にもなって初恋がまだなんて、この先色々大変だからな」 「いや、だから……ってか、何で初恋だって決めつけてんの?!」 「「「え?違うの?」」」 「うっ……そういう事でいい…」 なんで皆知ってんの? しかも全く疑ってない感じだ…
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!