桜色に護られて

Summon Elemental 精霊召喚

サクラ‥‥サクラ‥‥

「今宵も、皆が集まってくれたことに、感謝致します‥‥

‥‥これより、桜の開花までの、更なる準備にあたり、忙しない毎日になるやもしれんが、

急ぐことなく、日本の桜を、、、世界に旅したSAKURAを‥‥

‥‥美しく咲かせる号令を、僭越ながら、わたくし、木花咲耶（コノハナサクヤ）が致します」

その号令とともに、1年を掛けて静かに、日々、準備がされてきた地球の桜の樹々（きぎ）が、

今年も、開花目前となってきていた。

表向きは、静寂をはなって、休眠しているかの様に見えるが、

樹木は、『根』から水や養分を取り入れ、『幹』を通って、それを樹木全体に行き渡らせ、

『樹冠（ジュカン）』の葉で光合成を使って、成長のためのエネルギー源を得ている。

目まぐるしく、桜の樹々が再生していることを、人々は、あまり考えないだろう、、、

しかし、時に、自然に入って樹々の新芽を見つけ、樹木の命の鼓動を感じ、

ふと、目には見えない気配を察する、、、桜の精霊たちを、労う気持ちを持っている人々もいるだろう、、、

木花咲耶姫様（コノハナサクヤヒメサマ）は、風と共に全国を渡りながら、今年も、どうか優美で、厳かに、可憐に、

高潔な桜の花を咲かせたい一心であった。

『決して、わたくしだけのチカラでは咲かぬのだ、、、』

見えない世界での配慮と、この地球の人々が、樹木を大切に思い、守っているからこそ、

期限の中ではあるが、多くの人々が、桜を見ながら幸せを感じ、儚くも、その美しさに心踊る瞬間を、

感じえない者はいないのではないか、、、

ある桜並木、、、

その道を初めて歩いた日、桜の花は、雨や風で散ってしまっていたが、

桜の花が敷き詰められた、ピンク色の絨毯の上を歩いている様だった。

都心に住み慣れていたが、静かな、そんな桜並木の側で暮らすのも素敵だと思った。

間も無くして、その場所へ引っ越した。

何より、また次の年に咲く桜の花を楽しみにしていた、、、。