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言葉が降ってくる。
止まない言葉が私の傘を打つ。
言葉を弾くだけの私の傘をただ、打ち鳴らす。
醜い私を言葉の傘は覆い隠してくれる。
善意も悪意もない言葉から私を守ってくれる。
私の耳に聞こえるのはポツポツと言葉が弾かれる音。
ふと、下を見る。
降り続ける言葉が波紋となって広がる。
私の足元には言葉が広がる。
誰にも記憶されない、言葉が。
私がただ拒んできた言葉が。
私が吐き出した言葉が。
私以外の、誰にも記憶されず溶けて水溜まりとなっていく。
まだ言葉は降り続ける。
いつまでも言葉は降り続ける。
私は言葉を吐き出し続ける。
私は言葉から目を逸らし続ける。
私は言葉の傘を手放せない。
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