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小さい時から言葉が好きだった。
白紙に綴られた文字を愛した。
いつしか、自ら言葉を綴った。
拙い言葉は誰にも見られなかったけれど、それでも楽しかった。
雨降る夜の街灯の下で立ち尽くす待宵の情景を
世界の理不尽に絶望し、諦観に捕らわれた人を
人生という喜劇の成れの果てを
言葉という概念の残虐さと美しさを
辛さも痛さもないドラマチックな空想を
時間を浪費して、ただ書き連ねた。
ただ徒に言葉を書き続けた。
どうしようもない私が言葉を残すことができた。
足跡を残すことができた。
ここに私がいたという証明を残すことができた。
私が綴った言葉の数だけ私はここにいるのだと感じることができた。
私は私なのだと。私は確かにここにいるのだと。私は何かを残すことができるのだと。
そう、感じられたのだ。
だから、私は言葉を綴る。
だから、私は物語を書き続ける。
真っ白な私の人生に
せめての足跡を残せるように
私が私であるということを
証明するために
他の誰でもない
私は私なのだと、私は私しかいないのだと
私の代わりなど、どこにもいやしないということを
ただ信じるために
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