Lesson1 ~新生活~

2/10
前へ
/245ページ
次へ
私と和奏が今日から過ごす1A教室。 ドアに貼りだされた座席表を確認して、私たちはとりあえずそれぞれの席へと向かった。 和奏は相変わらず1番か。 名字が朝倉だからか、中学時代からずっと出席番号1番を誇っていた和奏。 「なーんだ、高校でも1番か」 不服そうに1番前の席へと進む和奏を見送って、私も自分の席へと移動した。 桜田、は、真ん中列の後ろから2番目。 自席を確認すると、後ろの席の男の子は既に席に座って、寝息を立てていた。 初日から寝てるなんて凄いな。大物そう。 薄っぺらい感想を抱きながら、静かにその横を通り過ぎて自分の席へカバンを置く。 「おはよう〜!席近いね、よろしくね」 そして、前の席に座る女の子に声をかけた。 お相手は、ショートカットの運動部っぽい女の子。 「お!よろしく! あたし、桜井(さくらい) 夕夏(ゆか)! 夕夏って呼んで!」 イメージ通りの明るさに、私もほっとして緊張していた頬が緩む。 「よろしく、桜田春です!」 「お、桜!おそろいだね!! あずまはどんな字?」 「春夏秋冬の(はる)で、あずまって読むの、分かりにくいよね〜」 「えー!めっちゃ素敵じゃん春生まれ?」 夕夏は、初対面のその瞬間から、自然体で話しやすい女の子だった。 あまりの話しやすさにさっそく盛り上がり、話に花を咲かせる。
/245ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加