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「おっ、きっぺーまた同じクラス〜!!」
しばらくして登校してきた元気な声が、私の後ろで眠る男子に勢いよく話しかけた。
男の子はうつ伏せのまま反応しなかったけど、気にしない様子で元気に話し続ける。
「なぁ、寝てんの?初日から寝てちゃもったいないって!」
「うるせえ……。」
「あ、起きた!」
声が大きい2人のやりとりに、夕夏と私はついつい視線を送ってしまう。
やっと体を起こした男の子と、その元気な男の子も、私たちに視線を向けてバチッと目が合ってしまった。
「あ、ごめん、えっと、初めまして、?」
視線を向けてしまった気まずさから先に口を開く。
元気な声の持ち主だった、黒髪を少し遊ばせるようにセットした男の子がにっこり笑って喋り出した。
「ごめん!うるさかったよな!初めまして!俺席、隣だからよろしくな〜!瀬戸内 蒼馬!」
蒼馬くんは、私の隣の席に鞄を置いて、人懐っこく微笑む。
そして、斜め後ろでまた眠ろうとする男の子の机を叩いて自己紹介を促した。
「おい、お前も自己紹介!!」
結平くんは、少し茶色に近いサラサラの前髪をくしゃくしゃと整える。
「はぁ……うるさかったのお前だけだろ?
佐々木 結平
こいつがうるさくてごめん。よろしく。」
それだけ言って、また机にうつ伏せた。
「あたしは、夕夏~」
「あ、私は、春です。」
それぞれ名乗ると、蒼馬くんは、人懐っこい笑顔を向けた。
「おっけー夕夏ちゃんと春ちゃんね!!
結平こんなんだけど、マジいい奴だから仲良くしてやって!」
大物そうな結平くんはちょっとまだ分からないけど。
とりあえず、夕夏と蒼馬くん。
話しやすい子たちが近くの席で良かったな、と安心する。
「楽しくなりそうで嬉しい。」
私が呟くと、夕夏も嬉しそうに「あたしも思った!」と言ってくれた。
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