5人が本棚に入れています
本棚に追加
✼••
入学式へと移動する時にも出会いがあった。
「そろそろ移動だよね」
盛り上がっていた会話を切り上げて夕夏が立ち上がる。
幸先良く友達もできて、鼻歌でも出そうな良い気分で、廊下へ出た私。
「わっ!ごめんなさい!」
そのすぐ後ろで、誰かの謝る声が聞こえた。
「あ……悪い。」
振り返った先では、ロングヘアのおとなしそうな女の子と、結平くん対峙していた。
女の子の方は、結平くんの鋭い目に顔を強ばらせ俯いている。
結平くんクールな感じだし、ちょっと怖いし、あの子大丈夫かな……。
「ごめんね~大丈夫?結平、鍛えてっから痛かったっしょ?」
私が戸惑っているうちに女の子に話しかけたのは蒼馬くんだった。
いつの間に見ていたのか、さっとフォローに入って行って、あっという間に打ち解けたように話し始めた。
「蒼馬くん、コミュ力高いね」
こそこそっと耳打ちする夕夏に、私も小さく頷く。
「私も入ってこよ〜!はじめまして!」
蒼馬くんに感化されたのか、夕夏は明るく会話に混ざって行って、私はまんまと取り残された。
「あ、はじめまして、
私、四宮 舞です!」
「舞ね!あたし夕夏!よろしく!
ほら、あずまもおいで〜!」
勢い負けしてしまっていた私。
夕夏の私を呼ぶ声は救いの声だった。
慌てて輪に入り、挨拶をした。
「桜田春です、よろしくね舞ちゃん」
舞ちゃんは、照れくさそうに笑っていた。
その笑顔は控えめそうな印象だったけど、とても可愛かった。
最初のコメントを投稿しよう!