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「そういえば、あず今日の朝電車で運命の出会いあったんだって!聞いた?」
和奏の豪速球により、突然話題が転換され、私は視線を集めた。
「え、ちょ、和奏!?」
止めようとするも、今日から現役女子高生の彼女らが聞き逃すわけもなくって。
「なにそれ!入学初日から出会いって!!」
「春ちゃん、詳しく!!!」
しっかり食いついた夕夏と舞ちゃんに
「ほら、仲良くなったついでに教えてあげなよ~」
ニヤニヤしながら、肘で私をつつく和奏。
さすが華の女子高生、恋バナは大好物。
盛り上がってしまった3人に、私は諦めて口を開いた。
「電車でかっこいい人見たってだけ。運命の人だなんて言ってない!
ただちょっと、もう一度会えたらいいなって思うだけだよ」
今朝のことを思い出し、少しそわそわする気持ちを確かめる。
「きゃああ!素敵だね〜!!」
「電車通学羨ましいね〜!!」
息ぴったりで茶々を入れる夕夏と舞ちゃん。
こんな所で意気投合しないでよ……
小さくため息をこぼすけど、距離が縮まったのは良かったよね、なんて笑う。
はしゃいでるうちに教室につき、各々自分の席へと解散した。
お昼ご飯のときにでも、みんなの恋バナも聞き出してやろう。
私はそう心に決めて、席に座った。
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