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「1学期あっという間だったね」
「だね、入学式の帰りもこうやって4人で話したの懐かしいよね~」
終業式を終えて、体育館からの帰り道。
私達はいつもの如く、4人で肩を並べて歩く。
「夏休み、どうする?どっかお出かけする?」
「いいね、お泊まりとかも?」
「えー!いいじゃん、後で部活予定送る!」
そんなわくわくする話をして、教室に向かう途中で逆方向に歩く佐久間先生に遭遇した。
「あ、佐久間やほー!」
「おう、式お疲れ~」
「先生出てなかったじゃん?」
「今日は電話番。」
歩きを止めることなく、軽快な会話を交わす皆。
明日から夏休み。
講習はあるけど、先生にはあんまり会えなくなってしまう。
嬉しいはずの夏休みが少し憂鬱に思えてしまう気持ちを隠すように、私は小さく会釈をした。
「あ、そうだ桜田。この後時間ある?」
そのまま通り過ぎるかと思ったら、呼び止められて驚く。
夕夏たち3人も、興味津々という顔で、少し先で足を止めて振り返っていた。
「この後、は、帰るだけなんで……」
言いながら和奏に視線を向けると、和奏は手で小さく丸を作った。
「大丈夫です。」
和奏のハンドサインを見てそう答えると、先生はにこりと微笑む。
「そんなに時間要らないからちょっと寄ってくれる?」
私は素直すぎる胸を抑え、小さく頷いた。
「教室で待ってるよ」
「あ、朝倉。悪いな~」
和奏の言葉に、返事をしながら先生は階段を上っていく。
私は、戸惑いを顕にしながら3人に目を向けた。
「な、なんだろ……!?」
私の方から押しかけることはよくあるけれど、先生に呼び出されるのなんて、そうそうある事じゃない。
「ばか、早く行きなって」
「大丈夫大丈夫!」
階段の上の様子を伺いながら、小声で勇気づけてくれる3人。
私は覚悟を決めるように3人に向かって小さく頷いて、先生を追いかけた。
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