Lesson10 ~溢れる片想い~

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「舞は、恋してるの?」 出会ってから舞の浮いた話は一度も聞いたことがなく、せっかくなので私は話題を振った。 「ううん、私は全然!!」 「本当かあ?」 疑いの目線を送ると、舞は対抗と言わんばかりに見つめ返してくる。 5秒ほど見つめあったあと、私は諦めてすっと視線を外した。 「そっか」 舞が、体育祭のとき私に言ってくれた言葉。 『辛くなったら辞めたくなるよ』 その言葉がどうしても、軽い言葉に思えなくて。 もしかしたら、辛い恋をしたことがあるのかなあって思っていたんだけど。 考えごとをしているのが伝わったのか、舞は、遠慮がちに口を開いた。 「昔の話、なんだけど」 控えめな口調に、私はストローを触る手を止める。 「引かないでね……?」 心配そうな前置きをされ、私は少しだけ体を強ばらせた。 小さな咳払いの後、舞は遂に口を開く。 「私、アイドルに、恋してたことがあって」 予想だにしない言葉が飛び出し、私は目を丸くした。 少女漫画が大好きな私だから、想像力は一気に膨らんだけど、何も言わず静かに待つ。
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