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「とりあえず、座ってください。って、そこのソファーしかないですが。」
「ああ。俺のことはお構いなく。優馬の邪魔はしないから。」
「あ、はい。」
俺は上着を脱ぎ、ソファーに座ると、課題に取り組んでいる優馬の後ろ姿を眺めた。
しばらくすると、優馬が目を擦り、伸びをした。
俺は彼にそっと近づいた。
「疲れた?」
「はい。この教授は課題が多くて。もう少しで終わりそうなんですが。」
俺は優馬の肩を優しく揉んだ。
「真守さん?」
「邪魔はしないけど、サポートするのはいいだろ?」
「それはいいですけど...真守さんの得にならないですよ。」
「だって、早く課題が終われば俺との時間もあるだろ?」
「そうやって、真守さんにハマっていくんですね。」
「なのに、優馬には通用しないもんなぁ。」
俺は苦笑いを浮かべた。
「俺もよく口説かれますから。慣れっこです。」
「でも、本当の優馬の姿を知ってる人は?」
「真守さんだけですよ、って言って欲しいですか?」
優馬は俺の方に身体を向けた。
「今日はしないんだよな。」
「はい。」
俺は少しづつ優馬に顔を近づけた。
2人の吐息が感じられるくらい近い距離。
このまま、彼とキスがしたい。
「コーヒー煎れてきますね。」
「うん、ありがとう。」
だが、優馬は俺の前をすり抜けていく。
このもどかしさは、癖になりそうだ。
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