恋しいのか、それとも、寂しいだけか

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俺は優馬がキッチンへ行っている間、本棚に並べられている本をぼんやりと眺めた。 すると、一つだけ本とは異なるものが並んでいた。 気になったので近寄ってみると、それは俺のよく知っているものだった。 「お待たせしました。」 「ありがとう。」 優馬がテーブルにコーヒーを置いたのを見計らって俺は言った。 「俺の事、知ろうとしてくれたのか?」 「見つけたんですか?」 「うん。」 優馬は立ち上がり、俺が所属するアイドルグループのライブDVDを棚から取り出した。 「みた感想は?」 「ファンの方々が、本当の真守さんの姿をみたら……」 「なんだよ。」 俺は先を促した。 「自分の胸に聞いてみてください。」 「そこまで言っておいて笑」 俺は優馬を後ろから抱き締めた。 「でも、見てくれて嬉しい。今度、ライブに招待するよ。」 「ありがとうございます。でも、気持ちだけ受け取っておきます。」 「生で俺のライブみたくないのか?」 「見たい...ですけど、俺は真守さんのセフレなので。そこまでしてもらう理由がありません。」 優馬は、セフレとしての立場をわきまえている。 まさに俺にとって理想の相手だ。 それなのに、何故か寂しいと思ってしまう俺が居た。
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