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「ご馳走様でした。」
「行こっか。」
俺は優馬の手を握った。
「真守さん、外ですよ//」
「みんな俺たちのことなんか見てないよ。」
夜は好きだ。
暗闇が俺たちを隠してくれる。
「ね、今度、俺のライブに来てよ。」
「嫌です。」
「どうして?」
「真守さんが、遠い人だと思い知らされるから。」
そういいながら、優馬は俺を見つめた。
俺はその目に弱い。
「こうやって、手を握っているのに、なんで、俺以外の人に優しくするんだよ。」
「それが仕事だから。」
「そんなこと分かってる。分かってるけど...」
「優馬も認めてよ。俺が特別だって。」
俺は身勝手だ。
優馬を苦しめると分かっていながら、彼を手放すことができない。
優馬は俺を見つめたまま、何も言わない。
だが、これだけは分かる。
今、俺たちは互いを欲していると。
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