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衣装に着替えた俺と涼雅は、楽屋で出番を待っていた。
すると、涼雅のスマートフォンが着信を知らせた。
「もしもし、今?少しなら大丈夫。」
俺に話す時よりも、声のトーンが高い涼雅の様子を見て、電話の相手が誰かすぐに分かった。
「今夜はハンバーグが食べたいな。」
聞き耳をたてるつもりはないが、嫌でも会話が聞こえてくる。
「うん、じゃあまたあとで。翔ちゃん。」
涼雅は電話を切った。
俺の予想通り、電話の相手は翔太だった。
俺の好きな人で、俺を初めて振った人。
「弟くんと仲良いんだな。」
「うん。弟じゃなくて、恋人ね。」
「涼雅ってさ、俺の事嫌いだろ?」
「嫌いっていうか、翔ちゃんに近づこうとする奴は、全員気に入らない。」
「こわっ」
「今頃、分かった?」
涼雅は悪戯な笑みを浮かべた。
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