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呪いは解けたが、ダンジョンの帰路にも魔物は待ち受けていた。骸骨王の手下ではない原住民のアンデッドらしい。
私は聖剣をふるい、あえぎながらウォルフに話しかける。
「さっき……豚グール狩ったわよね」
「ああ、あの腐った豚の群れか」
「あれさあ……どっかに新鮮なお肉ついてないかな」
全員がぎょっとした目で、私を見る。
「歩けるんだから全部腐ってるとは限らない。生きてる筋肉があるはずよ。今から戻って外の腐肉をこそげ取り、骨の近くまで掘れば血のしたたる新鮮な肉が……」あははは
「レイナ嬢。それ以上妄想すると聖女以前に人間じゃなくなるぞ」
空腹って精神の変調をきたすんだ、と何となく自覚しながら夢遊病者のように歩を進め、ようやくダンジョンの出口が見えた。ホー君が駆け寄ってくる。
「お帰りなさい、聖女様! 骸骨王を倒したようですね」
「そんなこと、どうでもいいから……早くご飯ちょうだい」
「その前に式典の準備ができています。まず村人から聖女様に花束を贈呈、ミーナ村長と来賓の祝辞が一時間。そして村に戻った吟遊詩人サブチャン&マツケンの『聖女様を讃える北の演歌ショー・祭りだサンバ』三時間、その後にお待ちかねの祝宴です!」
「演歌系吟遊詩人っていうイミフキャラにツッコミたいところだけど、もう心底どうでもいいから……鳥のエサでもなんでもいいから食わせて……」
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