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「あ、それでは先に食事としましょう。約束通り近隣の村から新鮮な鶏卵と、野山の高級食材を取り寄せました。すべて聖女様にと献上された食材で、ミーナ村長が自ら調理しました!」
私たちはダンジョン前の冒険者小屋に招かれる。座ったテーブル席の前、すぐに豪華な大皿が運び込まれた。たちまちシズル感満点の香りが室内にたちこめる。
メイン料理は巨大なオムレツ。とろとろ卵の加減が絶妙で、なのに焼けて固まった部分は絹地のようになめらかだ。その周りを赤緑黄の野草や花、野菜のサラダが固め、全体にタラコのようなピンクの無数の粒、そして茶色いソースが上品にかかっている。
席に着いたウォルフ、ピート、アリスの三人がごくりとのどを鳴らした。
「腕によりをかけて作らせていただきましたわ」
エプロン姿のミーナ村長が、ニコニコしている。
「レイナ嬢。これは予想外の料理だな」
「アリスお腹ぺこぺこ―。早く食べたーい」
「がんばったかいがあったね、レイナ。早速いただこう」
「腕によりを、かけて……?」
食欲より先に、悪寒が走った。
「この台詞はまさしく……美少女料理ミミックっ!!」
「え?」
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