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 俺が今どこにいるか分かりますかー?ここです!ここ!食堂でーす。  何故食堂にいるかというと、「もう昼休みの時間だし、食堂行こうか!」と言って青海に連れてこられたからである。なんと言うか、まだ関わったことのないやつが多いけど、近戸みたいなマイペースなやつが多いのだろうかこの学園は。  食堂にちょうど入ったタイミングで昼時を報せるチャイムが鳴り響いた。厨房の方から食欲をそそられる香りが漂ってきてよだれが少し口の端から垂れてしまう。 「何にする?俺は地獄山姥麻婆豆腐鍋がおすすめだよ」 「無駄の多い漢字の羅列。辛いの好きなん?」 「そうだね。甘いものよりは」  たわいのない会話をしながら、食堂のメニュー表に目を通す。どれも美味しそうだが、中にはネーミングセンスを疑うような品名も載っている。 「んー無難に唐揚げ定食にしとく」 「そっか。じゃあタブレットで注文するよ」 「ありがと。あ、支払いって」 「カード式の生徒証で支払うんだけど、中田はまだ持ってないし今日は奢るね」 「おお…かたじけない」  料理を待っている間、青海にこの学園の基礎知識を教えてもらった。 1、カード式の生徒証は証明書の役割だけでなく、学園内での支払いや寮の自室の鍵の役割を持つので無くさないこと 2、生徒会や人気生徒の親衛隊とは関わらないこと  その他にも寮の決まりや外出届けの出し方等を言われたがいかんせん情報量が多かったので1と2以外ははっきりと覚えられなかった。  というか、親衛隊ってホントにあるんだな…と感動していて頭に入ってこなかったというのもあるが。 「人も増えてきたし、ちょっと移動しようか」 「え、あれいつの間に」  辺りを見渡すといつの間にか生徒達が食堂にやって来ていた。トリップしてたせいで気づかなかったのか。
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