プロローグ

8/15

50人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「…………あ、エト、誠条院さんってどこのクラスなんですか?」  よし!何とか言葉を捻り出せたぞ。 「私は3-Sですわ。中田様は確か2-A、でしたか」 「え、そうなんですか」 「ご存知でなかったのですね」 「はい……親に急に転校させられたもんで…」  実を言うと昨日この町に引っ越してきたばかりなのだ。昨日の朝、起きたら母の車に乗っていて、何も知らされていない状態で強制的にこの町に連れてこられたのだ。  「今日からここに住むから近くの高校に転校しなさい」と母に引っ越した当日に言われ、訳が分からないままこの学園に転校した。  前に母が小テストだとか言ってやらせてきたテストも今思えばあれは編入試験のテストだったんだと理解した。 チピチピチャパチャパr「えっ、あ、あら、すみません着信が……」 「どうぞ出てください」 「ありがとうございます」  そう言うと誠条院さん(先輩の方がいいか)は少し離れた場所に移動し、電話相手と話し始めた。  ………最近のお嬢様は猫ミ○ムのこと知ってるのか。なんか、時代を感じるな……  昭和のじいじ感を出していると誠条院先輩が慌てた様子でこちらに戻ってきた。 「す、すみません!校内で問題が発生したようでして……私も向かわないといけなくて…」 「え、大丈夫ですか」 「緊急でして……申し訳ないのですが、先に職員室に行っていただけますか」 「あ、はい。俺は大丈夫なんで行ってください。案内は先生にしてもらえばいいし」 「本当にすみません。この埋め合わせはまたいつか。それでは失礼いたします!」  走り去った誠条院先輩を見届け、俺は職員室を目指した。……のだが、 「……………ここ、ドコ??????」  
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加