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「……お付き合い、しようかな」
「えっ」
ヒヨリは微笑んだ。気持ちは、なぜかもう固まっている。
イズーは、悪い人にはとても見えなかった。得体の知れない怖さはちょっとあるけれど。
だけど。ならば。
「一応、お試し期間を設定するけれどね。ごめんね、イズー」
「いいえ、構いません。お試し期間を作っていただけただけでも嬉しいです、ありがとうございます」
イズーが真剣な眼差しでヒヨリを見つめる。
「ヒヨリさんのことは、絶対に大切にしますから」
「……うん、ありがとう」
「じゃあ、じゃあ、最初のデートの日、今から決めちゃいましょうか」
「今から……!? う、うん、よろしく……お願いします」
「ありがとうございます!」
イズ-は飛び上がって喜んでいる。
何だかそこまで喜ばれると、こちらも嬉しい気分になるヒヨリであった。
(まあ、いいか)
そうヒヨリが思っていると。不意に、イズーが話しかけてくる。
「ヒヨリさん」
「ん? なあに?」
手を取り、じっと見つめられて。
「改めて。僕、ヒヨリさんのこと一生大事にしますから。絶対に幸せにしてみせますから」
イズーはヒヨリを優しく抱きしめ。
フワッと、頬に軽いキスを贈った。
ヒヨリは何が起こったのかわからず硬直してしまい。しばしのあと。真っ赤な顔をした彼女がそこにはいた。
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